「………………。」
彩華の料理を見て、直樹が口を開けたまま固まった。
スプーンでつついてみると、プルプルと揺れる。
「彩華さん……オムライス…だよね?」
「うん!オムライスだよ!」
彩華は笑顔で答えた。
「(しかしこれは…。)」
直樹の前に置かれた皿には誰がどう見てもゼリーだった。
ケチャップの色なのか、ゼリーは半透明の赤色だった。
「彩華の料理はいつもそうなるんだよ。」
食器を洗いながら蓮が言った。
「さあ直樹さん、食べてください。」
少し引きつった笑顔で優華が言う。
「作りすぎたから優華の分もあるよ〜。」
「え?」
優華の前にもゼリー(オムライス)が置かれた。
「う、嬉しいです…。」
予想外だったのだろう、優華は大量の汗を流していた。
「彩華さん…食材は何を入れたの…?」
「体に良さそうな物〜。でも、一番多く入れたのは……愛情だよ!」
少し照れながら彩華が言う。
「愛……姉さんの愛…。いただきます!!」
パクッとゼリー(オムライス)を食べる。
「ぐぶへぇっ!?」
家族大好きっ子・神崎優華、白目になりながら倒れた。
