「今日は何もないぞ〜。報告書が溜まってたんだが、昨日次狼と悠斗が片付けくれたからな。」





「でも兄さん、急に依頼が入ることもあるんじゃ…。」




優華が少し心配そうに言う。






「もし依頼が入っても、俺のケータイにメールが来るようになってるから大丈夫。」




ケータイを見せながら話す。






隣の菫はサンドイッチで余ったパンの耳を鳥にあげていた。




微笑みながら鳥に餌をあげるその姿は絵になっていた。






ドドドドドドド…。




地響きが聞こえ、遠くに土煙が見える。







それが徐々に近づいて来る…。



その音に驚いたのか、バサバサッと鳥が逃げる。







「……………………。」




顔は笑顔だが、その後ろにはドス黒いオーラが見える。また、周りの空気が冷たくなる。






直樹と優華は動けなくなるが、蓮だけは何事もないようにお茶を飲む。






「おう!直樹じゃね〜か!!」




土煙の正体は悠斗だった…。





いくら春でもまだ冷えるのに、タンクトップに短パンはおかしいと思われるが、彼に常識は通じない。






手にダンベルを持って、手首や足首には重りを付けている。






「悠斗…、用事があったんじゃ……?」




「ああ、新作のプロテインが届いたから飲んで鍛えてんだよ。見ろ!」




悠斗が力を入れると、筋肉が盛り上がる。






ゆらりと菫が立ち上がる。右手には日本刀があった…。