「おや?男の子と一緒か…。珍しいな。」
少し意外だったようで、湯飲みを置く。
「やはり、バレてしまいましたか…。」
優華が苦笑しながら話す。
「キミに剣を何年教えていると思っているんだ?」
菫の左隣には日本刀が置いてある。
本物だろうか…。
「優華さん、剣道やってるの?」
優華に聞いてみる。
「いえ、剣道はしていません。精神修行の一環として、菫さんに龍堂破現流(りゅうどうはげんりゅう)を教えてもらっています。」
「龍堂破現流…?」
「私の家の流派だよ。自己紹介が遅れたな、私の名前は龍堂菫。生徒会で書記をやっている。」
菫が右手を差し出す。
その瞳は淡い紫色で、すべてを見透かされそうだった。
「阿部直樹です。」
出された手を握り、握手を交わす。
「ほう、キミが噂の直樹くんか。」
一体どんな噂が流れているんだと直樹は少し恐くなった。
「まあ、とりあえず座れよ〜。」
蓮に言われ、4人で座敷に座る。
「俺たち、部室に向かってたんですけど…。」
菫さんが作ったサンドイッチを食べている蓮に言う。