「なに?直樹くん。」
「なんか疲れてません?大丈夫ですか?最近仕事多いみたいですけど。」
「そうね、確かに。2年生って以外と忙しいから、レポートとか色々あるのよ。ゴメンね、気を使わせちゃって。」
そう言って雪は校舎の方へ歩いて行った。
「はぁ…。はぐらかされたか。」
雪は明らかに疲労が溜まっている顔をしていた。レポートと言っていたが、おそらく肉体、精神的の両方からくる疲れだと直樹は確信していた。
「はぁ……。」
何度目かの溜め息を吐いて、地面を見つめた。
「あら?」
廊下を歩いていた氷が、暗い顔をしてベンチに座る直樹を見つけた。
「どうかしましたか?直樹君。」
「先生…。」
直樹が見上げると、いつもの笑顔で氷が立っていた。
「悩み事ですか?」
そう言って、直樹の隣に座る。
「会長…生徒会のみんなの様子がおかしいんです。会長なんて二週間も学校に来てないし…。」
「気になりますか?」
空を見上げながら氷が言った。
「何か知っているんですか!?だったら教えてください!!」
直樹が座りながら頭を下げる。
氷がポケットから、ウサギの可愛らしい小銭入れから、どこか外国のコインを取り出す。
ピンと親指でコインを弾いてキャッチする。