攻撃されているのにもかかわらず、ガサガサと隣でDVDを漁る蓮がいた。
「あ、フランダースの猫だ。好きなの?」
「名作だし、子供の頃から見ていたからね。特に最後のシーンは何度見ても涙が……なんで私、普通に答えてるんだろ…。」
「まあまあ、人生楽しくいこうよ。」
「この状況で楽観的なあなたみたいになったら、それこそ人生の終わりなのよ!!」
蓮の首をギュッと絞める。
「く、苦しい…。麗花…ハンドル、ハンドル…。」
「まったく…。」
首から手を離してハンドルを握る。
「それじゃあ、とりあえずラスト見よう。」
DVDをカーナビにセットして再生する。
「あのさ麗花。」
「何?」
「前から思ってたんだけど、こんなひ弱な猫に荷車を引かせるって虐待だよね?」
「………………。アニメに現実を突きつけないで…。」
は〜いと返事した蓮が早送りボタンを押す。
「(ラストのシーンね。運転席側からは見えないけど、音声だけでわかる。目を閉じればすぐに浮かんでくるわ。)」
