「本人に直接渡さないといけない………。」
直樹の申し出に、忍が大きく首を振りながら言った。
言い終わったと同時に、2人のお腹がぐうと鳴った。
「忍も飯まだ?」
直樹の質問に、少し顔を赤くしながら忍が頷く。
「学食行くところだったんだけど、一緒に行く?」
忍が頭を抱えて悩んでいる。
「大丈夫、仕事のない休みの会長は、突然現れることが多いから。そのうち自分から出てくるよ。」
直樹の言葉に納得して、コクコクと頷く。
2人で学食に向かうことにした。
【学食】
「直樹、エリーゼ盛りってなに…………?」
忍が特盛りの下に書いてる『エリーゼ盛り』を指差しながら聞いてきた。
「ああ、エリーゼっていう留学生がいるんだけど、すごい食欲でね…。特盛りのさらに上を頼むから、いつの間にかエリーゼ盛りってのができたんだ。」
なるほどと頷きながら、忍がメニューを見て、また悩んでいたが、すぐに決まったようで注文する。
「ラーメンください………。」
「あいよ、ラーメンね!」
学食のおばちゃんの元気のいい声が響く。
トレイに乗ったラーメンを嬉しそうに持ちながら、忍が少し離れた所で直樹を待っていた。
直樹もすぐに注文して忍の所まで歩き、近くの空いている席に隣同士に座る。
『いただきます』と同時に手を合わせて言う。
