「か、会ちょ―――ぐむっ!?」




蓮を呼ぼうグラウンドの方を向いたとき、またもや一瞬で移動してガツッと口をグローブを付けた右手で鷲掴みにされる。





アイアンクローならぬマウスクローだ。




どんなにもがいても手は外れない。誰かが言っていた事を思い出した。






真里香の握力は異常だと…。







「直樹…2人っきりで…個室で、お話し・ま・しょ。」





言葉だけならエロいが、怒りに満ちた声なのでまったく興奮しない。






「むが!むがが!む!?むうおー!!(いや!いやだ!ん!?会長ー!!)」





グラウンドに蓮の姿を見つけて叫ぶが、口を塞がれているので蓮には届かない。





しかもその蓮はどこから持ってきたのか、台車に彩華と優華(おそらくケータイで呼び出した)を乗せて走り回ってた。






「(まさかこうなることを予想して気をつけろって言ったのか?)」




心の中で理解したが、いまさら理解しても遅い。





「さあ…行きましょうか。」




むがむがと誰にも届かない叫びを上げながら、直樹は真里香に引っ張られていく。







途中転けたが、それでもマウスクローを止めずにズルズルと引っ張られたので、直樹はそのまま連れて行ってもらうことにした。




連れてこられたのは空き部屋だった。






そこには今日の夕方には帰るぜと言っていた悠斗がボロボロの放心状態で倒れていた。