「気をつけてって…すぐそこですよ?」




「ふむ、まあいい。…またな。」




そう言って蓮は手をプラプラと軽く振りながら彩華を連れて歩いて行った。






「なんだったんだ?」




直樹がまた寮に向かって歩き出そうとしたとき、ガッとすごい力で肩を掴まれる。






「な〜お〜き〜〜。」




低く恨みのこもった聞き慣れた声が聞こえた。






「え?何かご用ですか、真里香さん?」




肩を掴んでいるのは真里香だった。真里香から出ているオーラが悪魔ような形に見えて、怖いので敬語になってしまう直樹。






「ご用?ご用ですかって?直樹、私の服を見ても思い出さないの?」




真里香が肩を掴んでいた手を離し、直樹が真里香の方を向く。






よく見ると真里香は昼間見たときの制服ではなくジャージ姿だった。






「あの液体、時間が経つと水になったの…。びしょ濡れでスケスケの制服で人の多い時間帯を移動したのよ……。」





「それは…なんと言うか…ご愁傷様。それじゃ、俺は帰るから…。」




振り返り歩き出そうすると、真里香が一瞬で移動して前に立ちふさがる。