蓮が抱きかかえていた彩華を下ろして、さあ、こい!というように腕を広げる。
「初めからこの手段で降りてこいってことだったのか…。」
流石は兄妹だ、意思疎通ができている…いや今は姉妹かと心の中で呟く直樹。
とりあえず直樹も飛び降りることにした。
しかしあることに気付く。
彩華より体重は重い、さらに落下速度が加わり、今の自分はちょっとした兵器なのではと。
「うおおぉぉぉ!?今頃気付いてしまったぁ〜!!」
落下しながら頭を抱える。
「ふむ、少し落下地点がズレてるな。」
そう呟いて、校舎の壁を蹴ってジャンプする。
「か、会長!?なにし――うぷっ!」
ギュッと抱き込まれるように顔を胸に押し付けられる。
そのまま回転して着地する。
「ほら、地上だぞ。」
「ハァ…ハァ…。」
直樹が壁にもたれながら息をする。
「どうした?」
「いえ…ただ窒素するかと思っただけです…。」
あの胸は兵器だと確信した瞬間であった。
「はあ…。なんか疲れたんで、寮に戻ります。」
「そうか、ゆっくり休むといい。」
後ろでヤダヤダと駄々をこねる彩華を押さえつけながら蓮が言う。
「直樹。」
数メートル歩いたところで蓮に呼び止められる。
「気をつけてな。」
