「会長……あなたは色々とズルい…。」
そう呟き、意を決してボールを投げる。
パコンッと軽い音がしたと思ったら、彩華がボールを打っていた。
コロコロと直樹の足元に転がってくる。
「うわぁ……届いた…。」
ボールを拾いながら、一昨日の真里香の言葉を思い出していた。
『そう?会長に鍛えられて、もう普通じゃないでしょ。』
「ああ、普通じゃないかも…。」
ギュッとボールを握りながら呟く。
「直樹く〜ん!もう一球!!」
プラバットをブンブン振り回しながら彩華が言った。
「他にも普通じゃない人たくさんいるし…まあ、いっか。」
蓮に向かってボールを投げる。パコンと音がして、ボールが廊下に転がる。
「メンテナンスしていたら遅くなってしまったわ〜。」
ガラッと1年2組の教室のドアが開き、氷が出てきた。
氷が一歩踏み出そうと足を出した下にボールがちょうど転がってくる。
ギュルッとボールで滑って、氷が教室に転がっていった。
彩華が教室に近づく。
「こーちゃん、大丈夫?」
彩華が恐る恐る教室を覗き込もうとしたとき、いきなり蓮に担がれ、一気に直樹がいる場所にジャンプする。
それと同時に教室からジェノサイドがドアを突き破った。
ジェノサイドがこちらを向く。その上には氷が乗って、ドス黒いオーラを出していた。
「あらあら、誰かと思ったら会長さん達でしたか〜。」
