「そろそろソフトの練習に行かないと。」
真里香が時計を見て言った。
「ありがとな。」
「うん。ゆっくり休みなさいよ。」
そう言って部屋を出て行った。
真里香が部屋を出てから、直樹はまた眠っていた。
デジタル時計が午後3時を表示したとき、カチャッと小さな音を立てて部屋のドアが開く。
いつもの健康な状態なら、気配を消さない限り、誰かが入ってくると気付くのだが、流石に風邪を引いている状態では気付けない。
「失礼します。」
小さな声で、一礼してから靴を脱いで部屋に入ってくる。
銀色のショートの髪をドクロの装飾が付いたゴムでポニーテールにしてある。
手には小さな紙袋を持って、直樹が寝ているベッドに近付く。
「ん……?」
気配で気付いたわけではなく、直樹は普通に目が覚めた。
「あれ?優華さん…?」
「すみません、起こしてしまいましたか?」
「いや、普通に起きただけだよ。」
少し体が楽になっていたので、体を起こす。
「無理なさらないでください。」
「大丈夫。どうしたの?」
「はい、牛乳プリンを作ったので持ってきました。少し柔らかめに作ったので、食べやすいと思います。」
紙袋から小さなガラスの器を取り出す。
「すごく嬉しいよ!いただきます。」
