「さ、沙織さん、落ち着いてください!」
「優華、なぜ止める?あいつハゲだぞ?」
優華が落ち着けようとするが、沙織はまったく止められない。
意を決した優華が大きく息を吸い込んで。
「確かにハゲてますけど、今は授業中ですから!!席に座ってくださ〜い!!!」
2組全員が優華が叫んだことに驚くよりも、ハゲと言ったことに驚いた。
「よ、よし、言えた…!」
優華が頑張って声を出せたことに小さくガッツポーズする。
「ん?……え?あれ?」
周りのみんなの反応を見て、首を傾げて自分の言葉を思い出す。
「優華……あなた…。」
真里香は額に手をあてて呟く。
「え?……あ。あぁぁ〜っ!?ハゲって言っちゃったぁ〜!!」
優華の叫びと同時にチャイムが鳴った。
こーちゃん先生に放送で呼び出されると思っていたが、呼び出しはなく今帰りのHRをしているところである。
「はい、ではHRを終わりま〜す。」
いつもの笑顔で言うこーちゃん先生。
「あ、そうでした。1限の授業中にバカなことをしたと自覚ある人は、生徒会室に行ってくださいね〜。絶対行けよ、お前ら…。」
こーちゃん先生の後ろにドス黒いオーラが見えた。
「うむ、それでは帰るか。」
沙織が何もなかったように帰ろうする。
「ちょっと待て…。」
直樹が右手でガチッと沙織の肩を掴む。
「どうしたんだ、直樹?」
