授業が始まり、静かな教室に教師の声だけが聞こえる。




黒板に書かれたことをルーズリーフに写し終えて、直樹は外を見ながらペン回しをしていると、机の上に紙飛行機が落ちた。





見回すと彩華がウィンクしていた。彩華の後ろで見ていたエリーゼが目を輝かせながら、彩華に何かを聞いていた。





恐らく紙飛行機の折り方だろう。






紙飛行機を広げると、悠斗が風邪を引いたことに驚き、直樹も気をつけてという内容が書かれていた。





机の中からルーズリーフを一枚取り出し、自分も驚いている、気遣いありがとうと書いて紙飛行機にして、彩華に向けて飛ばす。






ちなみに、紙飛行機メモ飛ばしはエリーゼが来る前くらいに2組で流行っていたのだが、正確に相手の机に飛ばせるのが直樹と彩華だけなので、他の生徒は普通に手渡しで相手に届けるか、この2人に飛ばしてもらう。





そんな2人を称えみんなは『飛ばし人』と呼ぶ。




メモ飛ばしが終わり、直樹がまた外を眺めていると、後頭部にブスッと何かが軽く刺さった。






直樹がそれを取り、見てみると紙飛行機だった。



溜め息を吐き、わかりきった犯人を見る。







その犯人は教科書で口を隠していたが、目で笑っているのがわかる。




犯人の前の席である彩華がゴメンと手を合わして謝っている。つまり犯人はエリーゼだ。






グシャッと紙飛行機を丸める直樹。