初めの方は真里香が止めていたが、何度言っても聞かないので放置している。
「どうだ?この肉体は!!?」
悠斗がボディビルダーのようなポーズをとる。
「悠斗、女子がいるんだから止めろって…。」
言っても意味ないとわかっているが、直樹は一応注意する。
「ふむ。なかなかいい体をしている。」
「え………。」
予想外の言葉に直樹が沙織を見る。
「しかし、まだポーズが甘いな。私が手本を見せてやろう。」
そう言って、沙織がブレザーを脱ぎ、シャツのボタンを外し始める。
「止めろコラ〜!!」
直樹は全力で沙織を止める。
「沙織さん、女子は一組で着替えですよ…。」
見ていた優華が沙織の脱いだブレザーを拾いながら話す。
「ごめん、優華さん。こいつ連れて行ってもらえるかな?」
直樹の言葉に頷き、優華が沙織の背中を押しながら教室を出て行った。
「はぁ〜。」
溜め息を吐く直樹。
横を向けば、まだ悠斗がポーズを変えながら肉体を披露していた。
「(ああ、誰かに似てると思ったら……悠斗に似てるんだ。)」
昨日からの疑問が晴れたが、直樹はさっきよりも深い溜め息を吐いた。
