【グラウンド・魔の森側】




2人が森を抜けたときには、夕日が沈もうとしていた。





「やっと戻ってきたね。」



「はい、最初はどうなることかと思いましたけど。」




笑いながら歩いていると、直樹の足元にコロコロと野球のボールが転がってきた。






「こんなところまで飛んできたのか。」




ボールを拾いながら直樹が呟く。周りを見てみると、他にも何球か落ちていた。





「とりあえず拾っていきましょうか。」




優華の言葉に頷き、落ちているボールを拾って野球部のところに行く。







【グラウンド・旧館側、野球部、ソフトボール部の練習場所】






「どうした!この程度でバテてるのか!?」





蓮が野球部の練習を手伝っていた。相変わらずホウキを持って。






「よし、この1球取ったら休憩だ!」





蓮が打った球はワンバウンドしながらサードへ。恐らく三年生の部員が飛びつきボールを取って、一塁に送球する。






「10分休憩!!」




『はい!』




蓮の言葉に部員全員が返事する。






部員達が小走りでベンチに向かう中、蓮は近く置いてあるタオルで汗を拭き、ミネラルウォーターを飲む。







「お疲れ様です、姉さま。」




ボールを部員に渡して、蓮に話しかける優華。