「会長が、魚を?」
「そうだ。食堂のB定食、魚がメインの定食の値段を知っているか?」
食べるのを止めて直樹に視線を向けながら話す。
「えっと…。いくらだっけ?優華さん、覚えてる?」
「確か大きな魚が付いて、150円だったかと。」
「そうだ、150円!生徒だけじゃなくて、教師にも人気の定食だ!」
ドラム缶風呂から少し身を乗り出しながら、直樹が言った。
「私や他の人、学園にとってもいいことだ。」
そう言って、また魚を食べ始める。
体も温まり直樹が風呂から出て、エリーゼの不思議アイテムで乾かした制服を着る。
「それじゃあ、帰るけど、ちゃんと学校来いよ。」
「ああ、主も倒したしな。恩人である君の頼みだ、必ず行くさ。」
いつの間にか風呂に入り、頭にタオルを乗せていた沙織が軽く手を振る。
「また明日な。」
そう言って、直樹が歩き出す。優華も頭を深く下げて直樹の隣を歩く。
直樹達の背中が見えなくなる。
「あれが阿部直樹……か。君が惚れ込む男だ、じっくり観察させてもらうよ…………蓮。」
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