「ところで、火はあるのか?」
「それなら大丈夫だ。前までは道に落ちているライターを拾って使っていたが、今は同居人がいつでも火を出してくれる。」
「「同居人?」」
直樹と優華が同時に言って、顔を見合わせる。
「お〜い、エリ。火を出してくれないか?」
沙織の言葉に反応するように、テントの中がもぞもぞと動く。
「ハーイ!エリーゼにお任せネ!!」
テントの中から出てきたのは制服姿のエリーゼだった。
「そういえば、体育祭終わったくらいから見てなかったなコイツ…。」
「授業には出てましたけど、寮では見かけませんでした…。ここにいたんですね。」
「Oh!ナオキにユウカ、何してるノ?」
パチパチとまばたきしながらエリーゼが言った。
「南条さんに学校に来てくださいと言いにきたんです。」
「確かにサオリは最近学校に行ってないネ〜。まあ、とりあえず火をつけるヨ!」
エリーゼが制服から携帯電話を取り出す。小さなウサギの人形が付いたスライド式の携帯電話だった。
「ケータイなんて出して、どうするのエリーゼ?」
「ナオキ、エリーゼのケータイは普通のケータイじゃないのデスヨ!」
シュッと携帯電話をスライドさせ、ゴミに向ける。
「ポチッとナ〜!」
ボタンを押すと、赤外線のところからレーザーが出て、ゴミが勢い良く燃える。
「なんでケータイからレーザーが…。」
「暴漢対策でしょうか?」
