「いや、私も入りたいんだ。この一週間、あの湖の主が現れるの待ってたからな。」
腕組みしながら沙織が言った。
「まさか最近学校に来なかったのは、そのためですか…?」
「そうだ。」
驚く優華を見た沙織が、なにかおかしいこと言った?みたいな顔していた。
「ていうか、お前…。一週間も風呂に入っていない体を差し出そうとしたのか…?」
「ん?男は女の汗のにおいに興奮するんじゃないのか?」
「限度があるだろうがっ!!」
「まあ、そんなことより、今は風呂だ。ちょっと待っていろ、確か非常用の蓄えがあったはずだから。」
沙織がテントの近くにある使い古されたロッカーを開けて、何かを取り出して持ってきた。
「まさかとは思うが…それはウチの学校の……。」
「ああ、学校の燃えるゴミだ。」
沙織が手に持っていたのは、学校で使っているゴミ袋だった。
中に入っている丸まったプリントやルーズリーフなどを薪代わりに入れていく。
