沙織を納得させ、優華の誤解を解くのに数10分かかった。
「ということで、ご理解いただけたでしょうか…?」
直樹の言葉に2人が頷く。
「やっと帰れ……ハックシュン!!」
「よく考えたら、君、ずぶ濡れだったな。よし、私の家に来るといい。」
沙織が歩いていく。
「家…?実家近いのかな?」
「とりあえず、ついて行ってみませんか?本当に風邪を引いてしまいます。」
優華に手を掴まれて、直樹は沙織の後を追いかけた。
実家が学園の近くなんだろうと思っていた直樹達だったが、その想像は数分後に打ち砕かれる。
「さあ、着いたぞ。」
沙織に連れてこられたのは、湖から数分(恐らく2分くらい)歩いた所にあるテントだった。
しかもそのテントは手作りのようで、恐らく学園から拝借したであろうブルーシート(龍堂学園とマジックで端に書かれていた)で作られていた。
「すぐ風呂の準備をする。」
沙織がテントのすぐ隣にあるドラム缶風呂に近づき、その上に垂れ下がっているロープを引っ張る。
すると上から水が流れてきて、ドラム缶に溜まっていく。
ある程度水が溜まると、もう一度ロープを引っ張り、水を止める。
「おや?薪が無いな…。」
「取ってきましょうか?1人分くらいなら、そんなに時間かかりませんし。」
