「……………。」
「……………。」
しばらく沈黙が続いた。
「って、これ椅子じゃねぇ〜!!」
耐えきれずに直樹がツッコミを入れる。
「ボウガンでしょうか?」
優華がまだ腰掛けながら冷静にそれを見ながら言う。
「デカすぎだよ。矢が先を削った丸太だし…。巨人でもいるのか?」
直樹が観察していると、優華に肩をたたかれる。
「直樹さん、水の音がします。」
「え、本当?」
優華に言われて、直樹は耳を澄ます。直樹の耳にも水の音が聞こえた。
「本当だ!近いね。確か南条さんは、湖の近くにいるって会長が言ってたよね。」
「はい、行ってみましょう!」
2人が歩いていくと、かなり近くに湖があった。
「なんか前に会長と来たときを思い出すな〜。」
「直樹さん、前に姉さまとここに来たんですか?」
「いやここじゃないよ。もっと小さい池なんだけど、会長が池に手を突っ込んでワニを捕まえたことがあってさ。」
話しながら直樹が湖に近づく。
「ちょうどこんな感じで…。」
直樹がシャツの袖を捲り上げて手を湖に入れるジェスチャーをしようとする。
「直樹さん、足元に何か…。」
後ろで見ていた優華が言いかける。
その瞬間、直樹の両足首にロープが巻き付き、宙吊り状態になる。
「なんじゃこりゃ〜!!」
ロープの先のアームが動いて、湖の真ん中でブラブラと揺れながら直樹が叫ぶ。
