右足を上げ、一本足打法で構えてホウキ振る。コンッと高校野球らしからぬ重低音が聞こえたが、ボールは軽々と校舎を越えて姿を消した。
「ふむ、やはりホワイト・アッシュに限るな。」
まじまじとバットを見ながら言う。
「いつものことながら、何でもアリだな会長は…。つ〜か、なんでホウキにメジャー用の木材使ってんだろ……。」
直樹が呟く。
「姉さま〜!」
「ん?優華に直樹か、どうかしたか?」
2人は蓮に事情を説明した。
「そうか、沙織が…。」
「会長、南条さんがどこにいるか知ってますか?」
「ああ、沙織なら…。」
……………………。
……………。
……。
「なんでここなんだ…。」
「なにか探し物でもあるんでしょうか?」
蓮に教えられた場所、それが今2人がいる魔の森だった。
「まあ、ある意味なんでもあるからなココは…。うわぁぁ!?スライム踏んじゃったよ…。」
右足裏に異様な感触が伝わる。
直樹に踏み潰されたスライムは破裂して、色々とパーツ(内臓類)が飛び散っていた。
「キャッ!?私も踏んじゃいました…。」
後ろにいる優華が小さい悲鳴を上げていた。
「なんかここってスライム多いよね。歩くのも一苦労だよ…。」
