「ふぅ、最近の接客は難しいな…。」
蓮が呟きながら厨房に向かう。
「会長でも知らないこととかあるんだね…。」
「確かに意外よね…。」
「姉貴はアウトドア派だからね〜。あんまりテレビとか見ないし、知らないこと多いよ。」
彩華の言葉に直樹と真里香がなるほどと頷く。
「れ……蓮…。」
意識を取り戻した菫が拘束された状態で、蓮に近づいていた。
「私に…ご主人様と……言ってくれ…。」
「ん?菫は同じ店員だから言わなくていいんじゃないのか?」
メモ帳を確認しながら言う。
「ふふ…。私は…特別なんだよ…。」
「なるほど。ご主人様。」
「はぐわぁ〜〜!!」
吐血して菫が倒れる。
「大丈夫か、ご主人様?」
「生きてて……良かった…。」
菫が生きている喜びを実感していた。
「次狼、ちょっとこのゴミ捨ててくるわ。」
口から血を垂れ流している菫を担いで雪が言う。
「ちゃんと分別しろよ。」
「はいは〜い。」
メイド姿のまま、雪が出て行った。
「お待たせしました、ご主人様、お嬢様。」
飲み物を持って来たのは優華だった、しかもメイド姿の。
「えっ、優華さん!?」
「会長とそろってメイド姿なのね…。」
優華のメイド姿に直樹と真里香が驚く。
「優華、何してるの?」
「姉さまの手伝いに行くって、朝言わなかった?」
