牛乳と猫スーツ。




「ギャアアアア〜ッ!!」



山田が悲鳴を上げる。
よく見ると、所々黒タイツは裂けて血が滲んでいた。





「有刺鉄線…?」




山田に巻き付いていたのは鋭く尖った鉄線のついた物だった。






「ちょっと違うわね〜。」


実習室から聞き覚えのある声がした。





「これは特殊合金で作られた物なの、正式名称はないんだけど…有刺合金ワイヤーってとこかしら〜。」




最近聞いていなかった声。





「真由香先ぱ――――」



直樹は言いかけて止まってしまった。






前より伸びたミディアムロングの淡い紫色(ピンクに近い)の前髪に隠れていた左目の包帯、ヒラヒラと揺れる制服の左袖を見て。







「えっ……目…腕……どうし…。」




直樹は驚いて、うまく言葉にできなかった。





「ああ、コレ?左目はケガしちゃったのよ。腕は昔からの病気でね、切ったの。入院してたから久しぶりね、直樹ちゃん。私に会えて嬉しい?」




前と変わらない、優しい笑顔で真由香が話す。







「はい…元気そうでなによりです…。」




真由香の笑顔に少し安心しながら、直樹は真里香を見る。






「……………。」




真里香は悲しそうな、辛そうな顔をしていた。






「とりあえず、コレとソレをどうにかしましょ。」



真由香が特殊ワイヤーがついたグローブをつけた右手で、山田と川口を指差しながら言う。