優華が川口に近づいてくる。
「ゆ、優華さん!!」
直樹が大声で名前を呼ぶ。
ギロリと凍てつく視線を直樹に向ける。
ジッと直樹を見る優華、そして数秒が経過すると。
「あら、直樹さんじゃないですか〜。」
いつもの優華に戻った。
「ゆ、優華?大丈夫なの?」
真里香が心配そうに尋ねる。
「真里香さんも、何かありましたか?」
「覚えてないの?」
直樹が川口を指差しながら言う。
「ど、どうしたんですか!?一体誰に?」
優華は本当に驚いていた。
「おのれ、神崎優華!よくも川口を!!」
山田が優華の後方に立っていた。
「うおおりゃ〜っ!!」
山田が優華に向かって走ってくる。
調理実習室の前を通り過ぎようとしたとき、まるでトラップが発動したように、山田の体にワイヤーのような物が巻き付く。
「え?真里香はここにいるし…誰がワイヤーなんて……。」
真里香は直樹の隣にいた、ワイヤーも出していなかった。
