いつの間にか山の木々が赤く染まり、季節は秋になった。少し前まで夏だったのが嘘のように、少し冷たい風が吹いている。
そんな日の午後の6限のHR。
「は〜い、それでは一週間後の文化祭の出し物を決めたいと思います〜。」
ウェーブのかかった黒髪を揺らしながら、こーちゃん先生が嬉しそうに話す。
「席を立って話し合ってもいいわよ〜。でもあまり騒がしくしちゃダメだからね〜。」
みんなが席を立ち、友達同士で集まり話し始める。
しかし直樹は立ち上がらない、立つ必要がないのだ。
直樹の席は、後ろから二番目の窓際。後ろには悠斗、その横には拓也がいる。
「文化祭か…定番だと喫茶店だけど…。」
「…演劇もあるけどね。」
聞こえてくるクラスメイトの話し声も、喫茶店と演劇の2つだった。
「悠斗は喫茶店と演劇なら、どっちがいい?」
後ろにいる金髪ツンツン(セットに20分)の友人に聞いてみた。
「色々見てぇからな〜。休憩所でいいんじゃね?」