「それでいいよ、焦る必要なんてない。それに同じ理想を共有できる仲間を、もっと見つけないとね。」




「うん!」




理想のために、少年と少女が一歩踏み出した瞬間だった。






「それじゃあ、お金頼むね。好きな物1つ買っていいんだから、遠慮しちゃダメだよ〜。」





彩華からお金を預かり、直樹は部屋から出る。





「好きな物って言われてもな…。」




歩きながら色々考えた結果、自販機の牛乳を買うことにした。




直樹はベンチに座り、ビンのキャップを外す。






「お使い、ご苦労だったな。」




声のする方を見ると、蓮が立っていた。





自販機でコーヒーを買って、蓮は直樹の隣に座る。





「もらってきた、お金です。」




懐からお金の入ったアタッシュケースを渡す。





「ああ、確かに。ん?減っていないな。ちゃんと買ったのか?」





笑いながら、直樹は牛乳のビンを見せた。





「欲のないヤツだな…。」



蓮は呆れた表情をしながら、コーヒーを飲む。





「会長は卒業したらどうするんですか?」




「………………さあな。」



「決めて…いないんですか?」





直樹はすごく驚いた。大学か就職のどちからくらい出てくると思ったからだ。






「今が忙しいからな。」




「そうですか…。じゃあ、次に会長にする人は決めてるんですか?」