この人は、全生徒に楽しい学園生活を送ってほしいと心から思っているのだろう。そのための努力をしている。恐らく普通では考えられない程の努力だろう。




あの日の説明会で見たときに、それを感じた。だから直樹はこの学園に決めた。





この人の力になりたいからと、そう思える直樹。




「(会長が全生徒の笑顔を望むなら、俺はそんな会長の笑顔を望む。)」




いつか頼られる日がくることを願いながら、心の中でそう呟いた。





「会長、言うのが遅れたんですけど…。」





「ん、なんだ?」




「誕生日、おめでとうございます。」




不意に蓮が、直樹の背中に寄りかかる。






「ああ。ありがとう。」




駐輪場まで、ずっと背中に蓮の重みを感じながら、直樹はこぎ続けた。





………………………。




………………。




………。






【女子寮・彩華と優華の部屋】





「あのサメのぬいぐるみだね。」




「そうだよ〜。あれが一番よかったんだよ!」




ベッドにクジラを飾りながら言う。





「直樹くん、まだ誰にも言っていないことがあるんだ…。」




「へぇ〜、どんなこと?」



直樹の方を向き、真剣な表情をする彩華。





「私、生徒会長になる!!」