「影響というか、成り行きだよ。私は覚えていないんだが、親が言うには、泣き止まない彩華に私がぬいぐるみを使って話しかけると、泣き止んだそうでな。それから、ぬいぐるみ好きになったそうだ。」




サメのぬいぐるみを、机に飾りながら言う。






「そうなんですか。あ、そうだ!会長、これから出かけません?」




「唐突だな。まあ、仕事は無いから構わないが…。」





「じゃあ決まりですね、行きましょう!」




直樹は蓮の手を取って生徒会室を出る。






「お、おい、直樹…。」




駐輪場に行き、寮生なら誰でも使っていい自転車を持ってくる直樹。生徒がよく2人乗りするので、荷台には座布団が乗っている。





「バイクの方がいいんじゃないか?」




「この時間は混みますから、後ろ乗ってください。」




サドルに腰掛けながら、直樹は座布団をポンと叩く。






「私が後ろか?」




「俺がこぎます、誕生日なんですから楽してくださいよ。もしかして、2人乗りはダメとか言います?」





「いや、後ろに乗るのは初めてでな。それじゃあ、失礼して…。」




ちょこんと、蓮は横向に座る。






「意外ですね、初めてなんて。」




「いつも前だからな、彩華や優華を乗せいた。」




「そうなんですか。じゃあ、安全運転で行きますよ。」




直樹が自転車をこぎ出す。