「(なんとか北村さんの誤解を解くことはできたが、問題は彩華さんだ…。)」
恐る恐る、直樹は彩華の方を見た。
「こ、困るな〜。やっぱりそういうのって、ちゃんと交際してからじゃないと…。」
顔を真っ赤にしながら彩華が言う。
「あらあらあら〜。ゴールインは間近かしら〜。」
「(なんだこの空気は…。いっそ否定してくれぇ〜!!)」
直樹が心の中で叫んでいると、不意に携帯が鳴る。
非通知だった。
「誰だろ?はい、もしもし…。」
『彩華にいかがわしい服を着せてみろ……お前の皮膚という名の服を剥いでやるからな。』
プツ、ツー、ツー。
一方的に切られる。完璧に蓮の声だった。
「(あの人はどこで見ているんだ…。)」
彩華がクジラを買うのを待って店を出る直樹は、部屋までぬいぐるみを持ってあげた。
彩華が鍵を開けて、2人で中に入る。
2つあるベッドのうち、1つにはぬいぐるみが大量に置かれていた。
「ぬいぐるみ増えたね。」
「前に兄貴の誕生日プレゼント送ったときに、ついでに買ったのを持って来たからね〜。」
「ああ……。」
………………………。
………………。
………。
