「ねぇ、直樹くん。」




名前を呼ばれた直樹は考えを止めて、彩華の方を見る。




「ちょっと行きたいトコあるんだけど、いいかな?」





さっきの悲しそうな顔が嘘のように、彼女は無邪気に笑っていた。





「いいよ、行こう。」




この笑顔を見ると、ネガティブな考えが消えてしまう。




そして2人で歩き出す。



「ここだよ〜、私のお気に入りの雑貨屋!」





「……………………。」




中に入ると、そこは女の子が喜びそうなメルヘンチックな感じだった。




外は一見、アンティークな雰囲気が漂う感じだった、店内にはおじいさんしかいないような店だと思った。






「ちょっと見てくるね〜!」




「(お〜い!1人にしないでくれ!!)」



直樹が心の中で叫ぶが、彩華は店の奥に消えていった。





幸い店には直樹達以外に客がいなかったので、変な目で見られることはない。





「それにしても、すごい店だな…。」




店のマスコットキャラクターなのか、クマっぽいキャラの商品が至る所にある。




しかも店員は全員メイド服を着ている。





「突っ立っててもしょうがないし、とりあえず見て回るか…。」




直樹が少し歩くと、普通の雑貨があることに気づく。




どうやら入り口付近にマスコットキャラクターの商品を置いて、真ん中辺りに普通の雑貨を置いているようだ。