悠斗の右ストレートを、拓也は体を左にそらして避ける。
「まだまだぁ〜!!」
悠斗が殴った体制のまま、右足で蹴ろうとする。
「…わかりやすいな、悠斗は。」
拓也が右足を、悠斗の右太ももに乗せ、飛び越える。
「お、俺を踏み台にしただと〜!?」
悠斗が、どこかで聞いたことのあるセリフを叫んでいた。
そのまま拓也がゴールテープを切る。
『ゴール!赤組に5ポイント!すごいぞ黒木拓也、ゴミを踏み台にしてのゴール!!』
『あのバカ…いやゴミは、障害物にもならねぇな。』
『ある意味ソレが、ユウトのスゴイところネ〜!』
まだまだ障害物競争が続き、終わるまで障害物をやっていた悠斗は、やる気に満ちた選手達にボコボコにされていた。
「人間怖い、人間怖い、人間怖い、人間怖い、人間怖い、人間怖い…。」
戻ってきた悠斗がブルーシートの端で三角座りしながら、ボソボソと呟いていた。
「俺の種目は全部午後からだし、みんなの午前の種目は終わったな。」
「…それじゃあ、食堂混む前に食べに行こうか、直樹。」
早いが、いつものメンツで昼飯を食べに行く。
食べ終えて、みんなで話していると、いつの間にか午後の開始のチャイムが鳴る。
