「さて、やるわよ。」
サングラスを外し、パキッパキッと手の骨を鳴らしながら直樹に近づいていく。
「何するんですか?」
「暗視ゴーグルは、マンガだと目が潰れるとか描かれてるけど、視力に障害がおこる前に、機械の回路が焼き切れるか、安全装置が働いて機能が停止するの。」
「つまり敵はまだ戦えるってことか…。」
近くに倒れている敵が立ち上がろうとしていた。
「そういうこと。ただ暗い場所に目が慣れている私達と、機械に頼っていた敵、どちらが有利か…。」
雪が話しながら、立ち上がった敵を手刀で倒す。
「俺達が有利ってことですね。」
「まあ、もう終わるけどね。」
シャッターの上がった窓から外を見ながら雪が話す。
『チェックメイト。』
インカムから蓮の声が聞こえた。
その後、敵が撤退していった。
「さあ、帰ろうか直樹くん。」
伸びをしながら歩いていく雪。
「あの、窓を戻さなくていいんですか?」
「ああ、窓ガラス?いいわよ、ほっといて。蓮が戻すわよ。」
「そうですか…。って、待ってくださいよ雪さん!」
インカムを生徒会室に置いて、直樹は雪の後を追った。
みんなと合流して、寮に帰った。蓮と次狼だけは窓を元に戻すために新館に残った。
