「忍……?」
足を一歩前に出そうとしたとき、忍が地面を蹴って、一瞬で目の前まで接近した。
そして右手に持った刀で切りつけてくる。刃は逆にしているが、忍からは殺気を感じた。
「っ!!?」
ギリギリのところで刀をかわす直樹。
「ちょ、なんで忍が!?」
直樹は戸惑い、判断が遅れてしまった。
左手の刀を逆手に持ち、切り返してきた。
「(やばっ!?かわせない!!)」
直樹はとっさに右手で防ごうと構える。
鈍い音を予想していたが、聞こえてきたのは鉄と鉄がぶつかり合う高い音だった。
「すまないが、彼はやらせないよ。」
菫がいつの間にか前におり、見慣れた黒刀が忍の攻撃を防いでくれていた。
攻撃を防がれ、忍がバックステップで距離をとる。
「す、菫さん……?」
「美少女が相手だと弱いな君は。後、今の私はクィーンだ。」
刀を中段に構えながら菫が言う。
「この子の相手は私がする。ポーンは2階へ行ってルークを手伝ってあげてくれないか。」
奥には新手が次々と階段を上っていた。
「わかりました。」
忍の目がジッと菫に向いているのを見て階段に向けて走り出す。
