数10分前…。
「直樹が落とした生徒手帳がセントリーの副会長、結城薫の手に渡ってしまった。つまりSSCが盗まれたという事だ。」
「なんで盗むんですか?」
首を傾げる直樹。
「アイツだからな…。」
蓮の言葉に生徒会メンバーが同時に頷いた。
「結城は素直に返さない。恐らくチャンスだと思って攻撃してくるだろうな。」
「そういえば結城さん、会長にキツく当たってましたけど、何かあったんですか?」
「前に色々とな…。」
どこか一点を見つめながら話す蓮の姿は、それ以上聞くなと言っているようだった。
「さて、このメンバーでは初めての戦闘だ。直樹と優華のコードネームを決めておこう。」
「あれ?彩華さんは決めないんですか?」
「私は前に決めたからね、いいでしょ〜。」
隣で彩華が笑顔で言った。
「そしたらちょっと変更して、彩華をナイト1(ワン)に優華をナイト2(ツー)にしよう。直樹はポーンだ。」
「なんですか?ポーンって…。」
何の言葉かわからない直樹。
「チェスの駒の名前だよ。蓮が昔から好きなゲームでね、ちなみにポーンは将棋でいう歩だな。」
菫が壁にもたれながら話す。
「よろこんでいいのか微妙ですね…。」
「そうかな?私はいいと思うぞ。」
少し笑みを浮かべながら菫が言う。
「まあ、何でもいいですけど…。」
