「俺の後輩だよ。」
「初めまして、阿部直樹です。」
「私は天条(てんじょう)麗花、よろしくお願いしますわ。」
ニコッと微笑みながら会釈する。
「(いい人っぽいな…。)」
「あら、忍(しのぶ)。仕事は終わったの?」
麗花の視線の先、振り向いてみると、そこには女の子が立っていた。
「(気がつかなかった…。)」
最近では気配に敏感になっているが、まったく気づかなかった。
小柄な体、黒髪で長髪のポニーテール、彩華ほど長くないが、この女の子も長い。
白いロングマフラーを巻いているので、黒髪がすごく綺麗に見える。
「はい…………。」
忍がかすかに聞こえるくらいの声で言う。
「仕事が早くて助かるわ。」
笑顔で話すその姿はキラキラと輝いていた。
「……………(ぽっ)。」
耳まで真っ赤にし、マフラーで顔を隠して後ろを向いてしまった。
無口だけれど、小さくて照れ屋でかわいい女の子だなと思ったが、直樹はある物を見てしまった。
真後ろから見て、彼女の腰の位置に2本クロスしてある刀があった。
それは菫の刀の半分より少し短いくらいの長さ。
「(最近は刀が流行っているのだろうか…。)」
「紹介しますわ、この子は斉藤(さいとう)忍。書記をしてもらっているの。阿部くんと同じ一年生よ。」
「よろしく………。」
まだ少し顔が赤かったが、右手を出してくれた。直樹も手を出して握手をする。
