彩華が泳げるようになり、数日が過ぎた。
いつも通りの朝、直樹は目覚めの牛乳を飲みながらカーテンを開け、ベランダに出る。
改装された寮は、前以上に住み心地が良い。部屋数も増えて階数も増えた。
前は一階だったが、今は三階、ベランダから見える景色が増えたのは嬉しい。それと同時に、とある建物が気になりだした。
学園の真後ろにある、もう1つの学園。この学園も大きいが、それはもっと大きく、更に洋風の造りをしている。
しかし校舎や寮と思われる建物が少し見えるだけ、高い塀で中は見えない。
『セントリー女子学園』
いわゆるお嬢様学校だ。この学園と同時に創立されたらしい。
初めはあまり気にならなかった直樹だが、ベランダから見えるようになってから気になり始めた。
牛乳を飲み終え、制服に着替える。まだ寝ている悠斗を起こして、鞄を持って食堂に向かった。
時間は過ぎて、放課後。
【部室】
「それじゃ、俺はセントリーに行ってくるから。」
いつもと変わらぬ口調で蓮が言った。
「会長、あのお嬢様学校に行くんですか?」
「ん?ああ、向こうと話さないといけない事があってな。」
会長席に座りながら、書類を鞄に入れながら話す。
「俺も行ってもいいですか!?」
グイッと、顔を蓮に近づける直樹。