ある夏の終わり頃、水泳の授業は終了したが、彩華は泳ぎ足りなかった。そんなとき、大型台風がきて、川が増水して流れも速くなっていた。
それを見た彩華が、泳ごうとして川に飛び込んだ。水着じゃなく私服で飛び込んだため、うまく泳げずに溺れていたが、蓮に助けられて怪我もなく無事だった。
「簡単に言うと、増水した川に飛び込み溺れた。それ以来、水を怖がっているわけだよ。」
「泳げるけど、水が怖いってことか…。」
「はい…。助けた後、兄さん寝込んでしまって…。」
「責任感じちゃったのか…。」
自分のせいで家族が寝込んだら、小さい頃ならすごい責任を感じるだろう。
「いえ、私が看病するって言って、学校を休む口実にしていました。」
「あはは…。」
予想の斜め上をいく人だった。
「たぶん、両親の説教と特訓が原因だと思います…。」
「(会長みたいな両親だろうか……いや、それ以上かもしれない。)」
そんな2人から説教や特訓されたらトラウマになりそうだと、直樹は思った。
「うがぁぁぁぁぁ!!」
女の子とは思えなかったが、間違いなく彩華の声だったので振り返った。
彩華が青白く光輝いていた(過剰表現)
「どうやら生命の危機で覚醒したようだ。」
菫が冷静に語っていた。