「待ってください、直樹さん!お願いです、菫さんに任せてください!」
「でも、彩華さんが溺れてるんだよ!?」
「大丈夫です!姉さんは溺れません、泳げますから!!」
優華の言葉に思考が少し止まった直樹。
「え…?今なんて?」
「ですから、姉さんは泳げるんです。」
優華の目はとても嘘をついている目ではなかった。
「おや?直樹くんに話していなかったのか。」
菫が竹刀で彩華の額を押して、プールから上がるのを止めながら言う。
「彩華は泳げるんだよ、ただ水が苦手なだけさ。」
「水が苦手でどうして泳げるんですか!?」
「あまりに話しにくいことだったので…。」
優華がすべて話してくれた。
昔、彩華はすごく泳ぐのがうまく、本人も泳ぐことが好きだった。
