「ギャャャァァァァァァ〜!!!」
足が着くプールで彩華が溺れかけていた。
手足をバタつかせ、なんとか浮こうとしているが、バラバラなあの動きでは水泳選手でも沈むだろう。
「彩華さん、大丈夫だから、落ち着いて!」
彩華に近づいたとき、ドスッと股間を蹴られた。
このとき、直樹は確信した。苦手な水の中でも、これだけの威力と速さの蹴りを出せる彩華は、やはり会長の妹となんだと。
直樹の意識は、体と共にプールに沈んでいった。
【生徒会室】
「今年中にちゃんと泳げるようになると言っておきながら、まったく泳げず、更には直樹をプールに沈めるとはな…。」
蓮が溜め息を吐きながら言う。
「ここにプールの入場券がある。週末、俺が直々に特訓してやろうか?」
どこから出したのか、蓮がチケットと竹刀を持って彩華を見る。
「ヒィィィィッ!?それだけは〜。」
彩華が涙目になっていた。
「まあ、特訓してやりたいんだが、残念ながら週末には予定があってな。」
「ふぅ〜、助かった〜。」
「代わりに菫に行ってもらうか。」
持っていた竹刀を菫に渡す。
「うむ、まかされた。」
「えぇぇ〜っ!??」
そして今に至る。
「ヒャッホ〜!」
悠斗が叫びながらプールに入り、バタフライで泳いでいた。
「さあ彩華、始めよう。」
ペシッと竹刀で軽く地面を叩く菫。
