「それじゃ、寮へ行こっか。案内するよ〜。」
彩華に連れられ寮へと向かう。
学生寮は少し離れた場所、学園の右端にある。
「男子寮はこっちだよ。」
コの形をした建物が向かい合わせになり、それぞれが渡り廊下で繋がっており、中央に庭があるようだ。
「庭があるの?」
「うん。テラスやベンチがあって、休みの日は何か飲みながら話したり、本読んだりできるから人が集まるんだ。」
「なんかリッチだね。」
「できたのは半年前くらいらしいよ。兄貴が『人が集まれば自然に友達の輪が広がって、より良い学園生活を送ることができる』とか言って作ったんだって。」
なるほど、会長の案かと、直樹は納得する。
そんなこんなで部屋に到着。
「悠斗〜、入るよ〜?」
おう。と返事がしたのでドアを開ける。
タオルを頭に巻き、黒のジャージ姿の悠斗がいた。
「とりあえず隅に置いておいたぜ。」
部屋の隅に段ボールが積まれていた。
ありがとうと礼を言い、段ボールから荷物を出す。
「私も手伝うよ。」
「じゃあ、この段ボールをお願い。辞書とか筆記用具だから机に置いといて。」
彩華がうんと頷き、作業に始める。
