「ありがとうございます。記入はこれでいいですか?」
会長にプリントを渡す。
「うむ、これでいい。後は俺がやっておくから、部屋に行きな。」
ポケットから何かを取り出し渡される。
「部屋の鍵だ。無くすと怒られるから、無くさないでくれよ。」
108と彫られた鍵だった。
「迷惑かけてしまってすいません…。」
「確かに急だったが今日が部屋割りだったし、家の人も寮の方が安心だと言っていた。それに、朝は助けてもらったしな。」
プリントを持って会長がドアを開けようとして振り返る。
「そうそう、いい妹さんを持ってるな。」
「い、妹と話したんですか!?」
「電話に出たのが妹さんでな、私が直樹の保護者ですって言ったから全部説明したんだ。学生寮を勧めたら、同性と共同生活の方が安心なんで是非にと言ってな。」
「兄想いのいい妹だね〜。」
「アハハハ…。はぁ……。」
何を心配してるんだアイツは…。
「それに博学だった。つい時間を忘れて話をしてしまったよ。来年ここに来ないかと言ったら、そのつもりですと即答したぞ。」
やっぱり来る気だったか…。
「おもしろい子だったよ。それじゃ、俺は行くから。」
そう言って保健室から出て行った。
