「…頭を使うのは嫌いじゃないけど、みんなを引っ張っていくのは苦手だから、リーダーは強い人がやるとして、補佐的な役割をしたい。」
なるほどとみんなが頷く。これなら自己主張が苦手な人でも大丈夫だ。
後は強い誰かがリーダーを決めれば、この議題は終わる。
強い人、誰かいるかなと、みんなが考える。
「それなら直樹でいいじゃん。たまに蓮さんに鍛えられてるし。」
悠斗が言った。しかし正確には鍛えられてるんじゃなく、殺されかけているの間違いだと、直樹は心の中で1人訂正した。
直樹ならいいなど、みんなが口々に話す。
「それではリーダーは、直樹さんにしましょう。」
パチパチとみんなが拍手を直樹に送ってくれる。
まだやるとは言っていない直樹だが、すでに止めるとは言えない空気だった。
………………………。
……………。
……。
【創立記念大会当日】
朝のHRに担任から渡された、プリントに書かれた場所に移動する。
「…新音楽室。当たりだな。」
「当たりって何が?」
拓也の言葉の意味がわからず聞いてみた直樹。
「…新音楽室は新館唯一の特別教室で、場所は4階の一番端。敵に挟み撃ちされない教室だからだよ。」
