「変身!!」




腕に付けた変身ブレスレットにケータイを装着すると、赤いスーツを身にまとった戦隊ヒーローになった。






「この街の平和を守る!キザレンジャー・レッド!!」




ビシッと腕を伸ばし、ポーズをとる。







「えっ…。身近にいたよヒーローが。しかもキザレンジャーって…。」




「…最悪なネーミングだ…。」




「弱そうなヒーローだな。筋肉もないし、鍛え足りないんじゃねぇ?」





3人が思ったことを言うが、「キィー」としか村瀬には聞こえない。





「…まあ、名前はどうでもいいけど、立場的に俺たちヤラレ役じゃない?」





拓也の言葉に自分たちの立場に気付く。






「いくぞ、戦闘員ども!」



村瀬がこちらに走ってくる。






「どうしよ!?ヤバいって!」




「…直樹、…ゴニョゴニョ…。」




拓也に耳打ちされる。







「どうすんだよ!?おい直樹、拓也!なにコソコソしてんだよ!!」





「ゴメン!悠斗!!」




悠斗の背中にジャンピングキックする。





そこに走ってきた村瀬の顔に悠斗の石頭がぶつかる。ヒーローになってパワーアップしているはずの村瀬が吹き飛んだ。






「ぼ、僕の顔に…なんてことを!?」