反対側の女子寮から、蓮と彩華の声が聞こえた。
「直樹、女子寮って確か渡り廊下で区切られてたよな…。」
「うん。それでも聞こえるって…。」
まだ夏なのだが、なぜか体が震えた2人。
「まあ、今回は初犯だ。私は蓮より心優しいから、見逃してあげてもいいんだけど?」
「「すみませんでした!!」」
部屋に戻り、勉強を再開する。
10分くらいノートと向き合った。
「だぁぁ!!もう無理だぁ〜。」
悠斗が大の字に寝転がる。
「筋トレは集中できるのに、勉強はダメだね〜。」
「筋トレグッズがあれば気分転換できるのに………そうだ!!」
何かを思いついたようで、悠斗が立ち上がりベランダの方へ歩いていく。
「何するの?」
「ベランダの手すりに捕まって懸垂(けんすい)する!」
ガラガラっとガラス戸を開けると同時に、ドンと銃声が鳴る。
「ぐはぁぁあ!?」
バタッと悠斗が倒れる。
「ゆ、悠斗!?」
悠斗の体を抱き起こす。
「直樹……俺は純粋に…懸垂したかった…だけ…。」
悠斗が直樹の手を弱く握りながら話す。
「悠斗、しっかりしろ!たかが股間にゴム弾が当たっただけじゃないか!」
「いや……かなり痛いんだけど…。……ガクッ。」
「悠斗ぉぉ〜〜!!!」
悠斗が逝ったこの日を境に、直樹と生徒会との終わり無き戦いが始まった…。
