「この学園をナメるなよ。くっくっく…。」
新しいマガジンを装着して、蓮が不気味に笑う。
「逃げた方がいいよな…。」
振り返って走り出した。
どれくらい走っただろうか、いつの間にかグランドまで来ていた直樹。
「はぁ、はぁ…。この運動量…ハンパじゃないな…。」
息を整えて周りを見ると、野球部が練習していた。
「そろそろ移動しないと…。」
そう思い歩き出そうとしたときに、目の前を何かがものすごいスピードで通り過ぎ、思わず後ろに倒れてしまう。
「な、何だっ!?ボール?」
飛んできた先には、いつの間にか猫スーツを着た蓮がバットを持っていた。
「次ッ!!」
蓮に言われてキャプテンっぽい人が、ノックの練習のようにボールを投げる。
カキィーンと金属バット特有の音と共に、ボールが直樹の右頬をかすめる。
「なんでメールでここまで怒るんですか!?」
「イチャイチャと…誰が交際を認めたんだコラ!まだ早い!!」
「交際って…いやいやいや、付き合ってませんから!」
「彩華に魅力が無いってのか!?殺す。ボール高めに投げろ!」
高めに投げたボールを斜め下に叩きつけるように打つ。
キィーンと前より小さい音が聞こえ、これも右頬をかすめる。
なんとか避けれたと安心していると彼の背中に痛みが走る。
