「でも、女の子のメールって、なんかスゴいですよね〜。絵文字やデコメが多くて。」
「絵文字や…デコメ…?」
また涼しくなった。直樹が冷房効き過ぎじゃないかと思ったとき、はっと気付いた。
涼しさと一緒に、なにやら圧迫感がしている。
しかもこの涼しさは、微妙にまとわりつくような嫌な涼しさだ。こんな感じを直樹は経験したことがある。
「(これは殺気だ…。)」
「はぁ…。器物破損は止めてくれよ、蓮。」
菫は何かを諦めたような溜め息を吐き、自分の湯飲みとお茶請けの皿を手に取る。
「死ねコラ〜!!!!!」
蓮がいきなりジャンプしてテーブルに乗り、直樹に殴りかかってきた。これを見越して菫は湯飲みと皿を避難させた事に気付く。
ギリギリで攻撃を避けて、部屋の外に出て逃げる直樹。
「待てコラ〜!!!!!」
直樹は走り回って蓮が落ち着くのを持つ事にした。
相手に飛び道具は武器は無い。弁明しながら走れば助かることができるはずだと考えたのだ。
廊下を走っていると教室には数人の生徒がいた。恐らく補習で集まっている生徒だろう。
実のところ直樹や彩華、悠斗も危なかった。
