「え、えーっと…。どちら様?」





「ワタシの名前はエリーゼ。エリーゼ・ヴィストレアといいマ〜ス。」




エリーゼと名乗った女の子が、右手でワンピースの裾をつまみ、右脚を引いて小さくお辞儀をする。






「キミの留学は二学期からだと聞いていたが…。」





珍しく菫が困っている。





「Oh!それはですネ。レンの慌てふためく姿を見るためデスヨ〜!!」




笑いながら話すエリーゼを横目に、菫が誰かに電話をかけていた。恐らく会長だろう。






「もしもし、私だが…。少し困った事になってな、二学期からの留学生……そう、エリーゼが今来ているんだ…。私に言われても困る。……ああ、わかった。」





電話を終えて、はぁと溜め息を吐く菫。






「会長ですよね?何て言ってたんですか?」






「とりあえずここで待っててくれだそうだ。後、なぜかわからんが縛ってもかまわないから、エリーゼを自由行動させるなと…。」





「そうですか…。それじゃあ、エリーゼさん。とりあえず椅子に座ってください。」




直樹はエリーゼに近い椅子を引いて勧める。






「Oh。カタジケナ〜イ。」




どこでそんな日本語を覚えだのだろうか。