拓也、悠斗、遥の3人は音も無く一瞬で店の端にある小さなスペースへ移動する。
「…どうなってる!彩華か優華の名前が出てくると思ってたら、蓮さんだと!?」
「俺も驚いたっての。おかげでプロテイン入りホカリスエットこぼしちまった。」
「しょ〜がないんじゃない?噂も出たし、一番一緒にいる人でしょ。」
3人はヒソヒソと話す。
「…あの噂か。でも直樹は知らないんじゃ?」
「私が言ったのよ。」
「お前のせいか!この腹ぐ―――」
ドスッと悠斗の鳩尾に遥は拳を入れる。
「腹黒腹黒うっさいのよ!ブッ殺すわよ、脳筋っ!」
「ずみまぜんでじだ…。」
鳩尾を殴られた悠斗が痛みに耐えるようにうずくまる。
「…バカは置いといて。どうするべきか?」
「身近なだけに攻略は難しいわね。」
時折ピクリと動く悠斗を放置して、2人は話し合う。
「あの、お客様…。お席にお戻り―――」
「「今、大事な話し中!!」」
「す、すいません!?」
拓也と遥に圧倒されて、注意しにきた店員は逃げ出した。
「相手の価値観と合わせるってのはどうだ…?」
小刻みに震えながら悠斗が言った。
「…まあ、悪くない。」
「バカのくせにやるわね。」
3人は直樹がいる席に戻った。
