「まあ、良かったぜ。」
「ありがと。でも付き合うわけじゃないしね、ただの片思いだし。」
「男は勢いだぜ!今から行ってキスしてきたらどうだ?」
「いやいやいや、それは悠斗だけだから!」
無理だと高速で首を横に振る。
「そうか?まあ、蓮さんだからな。襲いかかったら返り討ちにあいそうだな。」
「だから襲いかからねぇ〜よ。」
「よし!なら完璧に襲えるように、次の休みに作戦会議だ!」
「人の話を聞いてますか〜?」
…………………。
…………。
……。
【黒木家】
玄関で靴ヒモを結ぶ拓也がいた。
「おはよ〜。遊ぼ―――って、どっか行くの?」
「…悪い、希美。友が待ってるんだ。」
真剣な表情の拓也は、それ以上何も言わずに家を出た。
「ホントに世話焼きだな〜。」
「…希美お姉ちゃん、来てたんですか?」
文香が階段を下りてきて、駆け寄る。
「遊びに来たんだけど、拓也が友達のとこ行っちゃったから。」
「…それなら一緒に買い物行きませんか?」
「いいね、行こう!」
…………………。
…………。
……。
【喫茶ルビー】
「ごめん、集まってもらって。」
直樹が頭を下げる。
「…気にしないでいい。相談してくれるのは嬉しいことだ。」
「そうだぜ!気にすんな、直樹。」