「何か言いたいことは?」
びしょ濡れで、頭にタオルを乗せた蓮が椅子に座りながら言った。
「俺の超能力スゴイでしょ?まさか温泉を掘り当てるなんて。あははは。」
悠斗が笑いながら言うのを横目に、蓮がパチンと指を鳴らす。
ズドンッという音と共に悠斗が地面に這いつくばっていた。雪の踵落としだった。
「夢を見ているところ悪いが、お前が掘り当てたのは温泉じゃなくて、大浴場の給湯管だ!!………で?何か言いたいことは?」
銀色の長い髪をタオルで包み込むように巻きながら、蓮が言う。
「ごめんなさい……。」
顔を地面にめり込ませながら悠斗が謝る。
そう、悠斗が掘り当てたのは温泉ではなかった。あの後すぐに、蓮達生徒会メンバーがやってきたのだ。
かなりの熱湯なので、猫スーツを着た蓮が噴き出す湯の中に入り、配管の修理してなんとか止めることができた。
しかしスーツの中も濡れて、スーツも修理しなければならなかった。
「夏休み前にようやく仕事が終わったと思えば、また仕事を増やして……。」
蓮が、ため息を吐きながらコーヒーを飲む。
「こんな事件が起こらないように、特殊な土や鉄板を入れておいたんだが…。」
壁にもたれていた次郎が言う。
言って信じてくれるだろうか?その土や鉄板を悠斗がスコップ1本ですべて取り除いたと…。
直樹は個人的に超能力だったのではないかと思った。
